2017年7月の有効求人倍率は1.52倍とさらなる高水準、完全失業率は2.8%と前月と変わらず

2017年7月の有効求人倍率は1.52倍(季節調整値、季節による変動を除いた数字)と前月より0.01ポイント上昇し、バブル期の最高水準1.46を0.06ポイント超えた水準となっています。また、昨年10月以降10ヵ月連続ですべての都道府県で1倍以上となりました(求人受理地別)。特に6月、7月は、正社員の有効求人倍率が1.01倍(季節調整値)と、この項目についての調査を開始して初めて1倍を上回りました。7月の完全失業率は2.8%(季節調整値)と6月と変わりませんでした。前年同月比でみると、就業者は55ヵ月連続で増加、完全失業者は86ヵ月連続で減少しています(就業者は59万人増加の6,503万人、完全失業者は12万人減少の191万人)。厚生労働省は、「雇用環境は着実に改善が進んでいる」としています。

厚生労働省では、公共職業安定所(ハローワーク)における求人、求職、就職の状況をとりまとめ、求人倍率などの指標を作成し、一般職業紹介状況として毎月公表しています。

(7月分)
総務省では、就業状況、失業者、失業率など把握するため、「労働力調査」を毎月実施・公表しています。

(7月分)

(注)有効求人倍率は、仕事を求めている求職者一人に対し企業から何人の求人があるかを示す、労働市場の基本指標で、完全失業率は、労働力人口に対する完全失業者数で表わされます。両指標とも、各月の数字は、通常、季節による変動要因を除いた季節調整値が使用されます。

2つの調査の2017年7月分の状況が両省から8月29日に公表されました。総じて、雇用情勢は好調な状況を続けています。

2017年7月の有効求人倍率(季節調整値)は、前月より0.01ポイント上昇し1.52倍でした。企業の人手不足感は一段と強まっており、4月に、バブル期の最高水準(1990年7月の1.46倍)を超え、1974(昭和49)年2月(石油危機の到来後の不況で高度経済成長が終わりをつげる直前)以来43年2ヵ月ぶりの高さとなる1.48倍となりましたが、5月、6月、7月とさらに上昇しました。特に、6月、7月は正社員の有効求人倍率が1.01倍(季節調整値)と、この項目についての調査を開始して初めて1倍を上回りました。人手不足がいよいよ正社員にも広がってきました。

新規求人数は、内閣府の景気動向指数の先行系列に採用されている唯一の労働統計指標です。景気に先行して変動する先行系列とされているのは、企業は景気がよくなると感じると求人活動を活発化し、景気の陰りを感じると、新たな求人活動を控えるからです。7月の新規求人数(当月に新たに受け付けた求人数、原数値)は前年同月と比較すると3.5%増となりました。前年同月比を産業別にみると、製造業(10.5%増)、運輸・郵便業(9.2%増)、宿泊・飲食サービス業(4.7%増)、建設業(3.7%増)、サービス業(他に分類されないもの、2.1%増)などで増加となり、生活関連サービス業・娯楽業(3.8%減)、情報通信業(2.1%減)、教育・学習支援業(0.4%減)などで減少となりました。ここ数カ月は、特に製造業、運輸・郵便業で高い伸びを示しています。厚生労働省は、製造業、特に自動車や電機の関連産業が好調としています。

主要産業における前年同月比の推移

7月の都道府県別の有効求人倍率(季節調整値)をみると、求人受理地別では、最高は福井県の2.11倍、最低は北海道の1.09倍、実際の就業地別では、最高は福井県の2.15倍、最低は北海道の1.14倍となりました。人手不足は全国的で、求人受理地別でも就業地別でも、全都道府県で1倍以上となっています。東京都、大阪府、愛知県等一部の都府県以外では低く出がちな求人受理地別でみても、全都道府県で10ヵ月連続1倍以上となっています。

なお、福井県はじめ北陸地域の有効求人倍率が高い理由(7月分求人受理地別有効求人倍率を高い順で都道府県を並べると、福井県が第1位、石川県が第3位、富山県が第5位に来ます。)を、最近、日本銀行金沢支店が分析しています(「ほくりくのさくらレポート」、2017年4月10日)。これによると、①求人側の要因として、北陸新幹線効果や製造業における活発な生産活動等を背景に、サービス、販売、建設、生産工程等を中心に雇用のミスマッチが生じていること、②求職側の要因として、全国を上回るペースで総人口・生産年齢人口の減少が進んでいる中、共稼ぎがもともと多く、女性の有業率が全国トップクラスにあるほか、景気が緩やかに拡大する中、全国と比べて失業率も低水準となっており、他地域と比べても更なる労働力の確保が相対的に難しい状況となっていること、などを指摘しています)。

求人、求職及び求人倍率の推移

2017年7月の全国の完全失業率(季節調整値)も同日総務省統計局から公表されましたが、2.8%と前月と同水準でした。

7月は、就業者(働いている者)が6,563万人と前年同月に比べ59万人増加し(55ヵ月連続の増加)、完全失業者数も191万人と、前年同月に比べて12万人減りました(86ヵ月連続で減少)。求職理由をみると、「勤め先や事業の都合による離職」が5万人、「自発的な離職(自己都合)」が1万人それぞれ減少しました。

(注)完全失業率(季節調整値)は、2017年1月分結果発表時、過去に遡って改定されています。また、2017年1月分結果から2015年国勢調査結果を基準とする推計人口(新基準)に切り替えられており、就業者数、完全失業者数等の原数字も微妙に修正されています。

厚生労働省は、「引き続き、雇用環境は着実に改善が進んでいる。」としています。
このように、雇用情勢の改善が進む中、人手不足が一段と深刻化しており、その原因追及が新聞紙面等をにぎわしています。介護、運輸等とくに第3次産業分野での処遇改善が遅れていることなど多くの原因がからんでいますが、大きな原因の一つが、育児期女性の活用が進んでいないこととともに、少子化で若年人口が減少している中で増加している高齢者の活用が遅れていることです。多様な柔軟な働き方を工夫しつつ、70歳程度までの本格就業の実現を目指す必要があります(注)。

(注)2017年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2017」では、
「65 歳以降の定年延長、継続雇用延長等を行う企業への支援を充実し、継続雇用年齢等 の引上げを進めていくための環境整備を行う。2020 年度(平成 32 年度)までを集中取組期間と位置付け、助成措置の強化等を行い、集中取組期間の終了時点で、継続雇用年 齢等の引上げに係る制度の在り方を再検討する。公務員の定年の引上げについて、具体 的な検討を進める。また、多様な技術・経験を有するシニア層が、幅広く社会に貢献できるよう、ハローワークにおける求人開拓を強化する。」
としています。