雇用保険①雇用保険の仕組み

安心して就職活動ができるよう支給される失業手当

雇用保険には、失業した場合の「求職者給付」と「就職促進給付」、職業に関する訓練を受ける際に必要な「教育訓練給付」、被保険者が高齢となり、または育児休業、介護休業を取得したことにより賃金が低下したときに支給される「雇用継続給付」など、各種の給付があります。

求職者給付の「基本手当」とは、いわゆる「失業手当」のこと。倒産、解雇、自己都合などで失業したときでも一定の期間、給付されるので、安心して就職活動ができます。ただし、基本手当の給付は、働く意志・能力があることが条件。病気やケガによりすぐに就職できない場合や、しばらく休養しようと思っているときは支給されません。また、離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算12ヵ月以上あることも受給の条件(解雇や倒産などによる失業の場合は、離職日以前1年間で通算6ヵ月以上でも可)。申請は、住民票登録している地域を担当するハローワークで本人が行います。

受給額は離職した日の直前6ヵ月に支払われた賃金日額の50〜80%(60歳以上65歳未満の場合は45〜80%、65歳以上の場合は、30日分ないし50日分の一時金が支給されます。)で、上限は45歳以上60歳未満なら7805円。給付金を受け取れる期間は、被保険者の期間と年齢によって異なります。45歳以上60歳未満で倒産・解雇・雇止めなどで職を失った失業者は、90日〜330日。その間、ケガや病気、妊娠、出産などによりすぐには就職できなくなった場合は、申請することで、働けない日数だけ期間を延長できます(最長3年間)。

上限額(2014(平成26)年8月1日現在)

区分 上限額(1日)
30歳未満 6,390円
30歳以上45歳未満 7,100円
45歳以上60歳未満 7,805円
60歳以上65歳未満 6,709円

基本手当(失業手当)の給付日数
①一般の離職者

被保険者であった期間 1年未満 1年以上
5年未満
5年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
全年齢 90日 120日 150日

②障害者等の就職困難者

被保険者であった期間 1年未満 1年以上
5年未満
5年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
45歳未満 150日 300日
45歳以上
60歳未満
300日

③倒産・解雇・雇止めなどによる離職者

被保険者であった期間 1年未満 1年以上
5年未満
5年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
30歳未満 90日 90日 120日 180日
30歳以上
35歳未満
180日 210日 240日
35歳以上
45歳未満
240日 270日
45歳以上
60歳未満
180日 240日 270日 330日
60歳以上
65歳未満
150日 180日 210日 240日

未加入の場合は2年を超えて(遡及適用期間)適用になります。

雇用保険は、個人経営で従業員4人以下の農林業、畜産業、養蚕業または水産業をのぞく、すべての会社で加入しなければならない強制保険です。保険料は勤務先と労働者がともに負担します。

正社員はもちろん、1週間の所定労働時間20時間以上かつ31日以上の雇用見込みがあれば、パートでも雇用保険に加入することが原則です。加入手続きは勤務先が行い、勤務先から「雇用保険被保険者資格取得等確認通知書」「雇用保険被保険者証」が交付されます。

これらが交付されておらず、勤務先が雇用保険の加入手続きをしていないと思われる場合は、ハローワークで「雇用保険に加入する必要があるかどうかの確認」を請求することも可能です。万一、雇用保険に未加入だった場合は、事業主から雇用保険料を天引きされていたことが給与証明などの書類により確認された方については2年を超えて雇用保険の遡及適用が可能になります。

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