田舎暮らしの詩 ~長野県伊那市より VOL.14~ 雪と共に暮らす

大山千佳

大自然のふところ、伊那谷からお届けしています。

伊那谷

職業

移住前 信託銀行 勤務
移住後 あがっとソロバン&学習塾 主宰

氏名

大山千佳(おおやまちか)

年齢

51歳

略歴

東京都出身。都立日比谷高校、青山学院女子短期大学卒。
信託銀行に26年間勤務し、事務・営業・本部企画に従事。
現在は、中央アルプスと南アルプスに囲まれた伊那谷の大自然の中、
小学生にソロバン、中学生に数学・英語を教える学習塾を主宰。

ターン状況

出身〜38歳 東京都品川区
38歳~47歳 東京都大田区
47歳〜 長野県伊那市

開業資金

1万円(教科書代)

ターンの理由

東京に住み、毎日朝から夜遅くまで仕事しながら、自分の本当の幸せは何か模索していました。
伊那で開催する染め物や味噌づくりのワークショップに通うようになり、風土・季節にそった生き方をしている移住者たちと知り合い、1年かけて移住を決意しました。

今の暮らしで気に入っていること

朝、鳥の鳴き声で目覚めること。
採れたての美味しい野菜を食べられること。


東京の実家から深夜伊那に戻り、高速バスを降りるといつも肺が膨らんで空気を胸いっぱいに入っている気がします。
標高が高いせいでしょうか。
冬至が近い12月の夜は、空気が凛と冴え渡っていました。

そして、翌朝、目覚めてカーテンを開けるとそこは、白銀の世界。

昨夜は、まだ降っていなかったのに……。

この日は、朝から街に出かける予定があったので、雪靴をはいて外に出ました。
「バスは時間通りに来るのだろうか」
「寒い中いつ来るかわからないバスを待つのはいやだなぁ」という思いがよぎります。
バス停までは、歩いて2分。
すでに道路はきれいに除雪されていて、坂道は難なく登ることができました。

バス停に到着。
「雪と青空のコントラストがきれいだなあ」と思っていた矢先、バスがやってきました。
東京では、ほんの少しの積雪でも大混乱となってしまいますが、伊那では積雪は日常のできごとです。
バスは定時にやってきます。

バスにゆられて20分で市街地に入ってきました。
伊那を走るほとんどのバスは、中央病院を経由して目的地に向かうので、少し時間がかかるのです。
田舎は、自動車社会。
バスを利用するのは、80歳を過ぎて運転免許を返納したお年寄りと高校生が多いです。
わたしは、運転免許を持たずに移住したので、雨や雪の日はバスを使いますが、暖かく天気の良い日は、電動自転車を交通手段にしています。

自転車で風を切って南アルプスを見ながら谷を下るのは、最高に気持ちが良いのです。
地元の方々には驚かれますが(笑)。

山間にある我が家から谷を下ってやってきた街には、ほとんど雪がありませんでした。
街から見るとわたしの住む山のあたりだけ雪雲がかかっていたそうです。

「いよいよ真冬!」と思っていたら、ご近所さんに「もう冬至。3か月もすればひな祭り。冬もあと少しだね。」と言われました。
冬至を過ぎれば、昼と夜の長さが逆転し、北半球は春の準備を始めるのです。
あと2か月もしたらフキノトウが出るんだな。

凛として美しい冬を楽しみながら、暖かい春を待ち望むこの頃です。

☞ 田舎暮らしの詩~長野県伊那市よりVOL.1~から読む