年金を受給されている人の確定申告

年金受給者は確定申告の手続が不要に?

年金といえども、税法上は雑所得とされています。したがって所得税がかかっています。とはいえ、支給時に源泉徴収…天引きをされているため、それと気づかない人も多いかもしれません。
また、2012年からは年金受給者の方々に向けて「確定申告不要制度」がスタートしています。これによって、公的年金等の受給額・その他の所得が一定の条件を満たす場合には、所得税や復興特別所得税の確定申告をする負担が無くなりました。それが以下の2つです。

1.公的年金等の受給の合計額が400万円以下である

公的年金等とは以下のものを指します。

〇国民年金から支給される老齢基礎年金
〇厚生年金から支給される老齢厚生年金
〇共済組合から支給される老齢共済年金
〇恩給(普通恩給)
〇過去の勤務に基づき使用者であった者から支給される年金
〇確定給付企業年金契約に基づいて支給を受ける年金

2.公的年金等以外の所得金額が20万円以下である

公的年金等以外の所得とは以下のものを指します。

〇生命保険や共済等の契約に基づいて支給される個人年金
〇給与所得
〇生命保険の満期返戻金

ところが、確定申告で還付金が発生することも多々

「では、自分はもう確定申告なんてしなくてもいいのかな…?」と思っている皆さん、実はそうでもありません。確定申告をすると、払い過ぎた税金が戻ってくることもあるのです。そこで、どういうケースが該当するのかを見ていきましょう。
確定申告をしたほうが好ましいのは、以下のような方。所得税が還付される可能性があります。

1.医療費が一定額を超えた場合

年間で医療費の支払いが10万円以上もしくは所得の5%以上になった場合、いずれか少ないほうの金額が医療費控除での申告額となります。10万円以上で申告するか、所得の5%以上で申告するかの判断は、所得額によります。そのボーダーラインは200万円。それより上の所得なら10万円以上で、下の所得なら5%以上で申告しましょう。仮に所得を180万円とすると、その5%は9万円。つまり、10万円以上でなくても控除対象とみなされます。年金所得の少ない方はくれぐれもお忘れなく。

2.住宅ローンを利用して、マイホームを購入もしくはリフォーム・増改築した場合

新築・中古の住宅購入に限らず、バリアフリー化工事・耐震工事といったリフォーム、省エネ改修工事・三世代同居改修工事といった増改築でも控除対象となります。住宅ローンの借り換えや、離婚による財産分与に伴う場合も対象となることがあります。

3.災害、盗難にあった場合

災害・盗難・横領等による損害を受けた場合、①損害金額(※1)から所得金額の10分の1を引いた額、②損害金額(※1)のうちの災害関連支出(※2)の金額から5万円を引いた額のいずれか多いほうの金額に「雑損控除」が適用されます。損失額があまりにも大きく、その年で使い切れなかった控除額は、翌年以降に持ち越しも可能です。
また、住宅及び家財の損害金額(※1)が価額の2分の1以上であれば、「災害減免法」が適用されます。
所得税の軽減額は下記の通りです。
その年分の所得金額が500万円以下…全額免除
その年分の所得金額が500万円超750万円以下…2分の1の軽減
その年分の所得金額が750万円超1,000万円以下…4分の1の軽減

※1損害金額:資産に生じた損害の金額から保険金や損害賠償金等で補填される金額を控除した金額。
※2災害関連支出:災害で滅失した住宅、家財等を除去するための費用や、豪雪による住宅の倒壊を防止するための屋根の雪下ろし費用等の支出。

4.国民年金等の社会保険料を支払っている場合

年金から天引きされている「国民健康保険料」「介護保険料」「後期高齢者医療保険料」以外に、国民年金などの社会保険料の支払いを振り込みで行なっている場合は、「社会保険料控除」の対象となります。「社会保険料控除」は保険料が全額控除できます。

5.配偶者等の社会保険料を支払っている場合

ご自身と生計を一にする配偶者や親族の国民健康保険等の保険料を支払っている場合には、社会保険料控除を受けることができます。控除できる金額は、その年に支払った金額や公的年金から差し引かれた金額の全額です。

6.家族構成が変わった場合

扶養家族が増えた場合、扶養控除を申告することで控除される額が変わってきます。また、配偶者との死別や離婚は、女性を対象とした「寡婦控除」・男性を対象とした「寡夫控除」が適用されます。これは共に27万円の控除が受けられます。

7. 寄附金等を支払った場合

国、都道府県・市区町村、公益社団法人・公益財団法人・認定NPO法人等への寄付金や、特定の政治献金等を支払った場合は、寄付金控除が受けられます。「ふるさと納税」も対象となりますが、「ふるさと納税ワンストップ特例制度」を利用すれば確定申告をしなくとも、寄附金控除を受けることが可能です。

確定申告は、お住まいになっている地域の最寄りの税務署で行なう他、国税庁のサイトにある「確定申告書作成コーナー」や国税電子申告・納税システム「e-Tax(イータックス)」でも書類作成が可能です。「e-Tax」なら、作成した申告等データをインターネットを通じて受付システムへ直接送信することができます。いずれにしても、日頃から領収書やレシート、支払い証明書等を整理して保管し、覚え書きなどを手帳にメモしたり、パソコンに保存するなどして、スムーズに確定申告に臨めるよう準備しておくことをおすすめします。

※それぞれ適応する為には要件がありますので、詳しくは税理士または税務署へご確認下さい。