新たなセカンドライフの選択ー日本版CCRC【第3回】CCRCで失敗しない5つの目安

今と比べて、少しずつ違うくらいが最適

CCRCが、単に老人ホームに移り住むのではなく、地域に移り住むという考え方であることは、前項でも触れました。そして、まだ健康である時点で移住し、地域社会との関わりを持つアクティブな生活を送れること、医療介護が必要になった時点でも、住み続けられるよう継続してケアが受けられることもおわかりいただけたと思います。

とはいえ、「終の棲家」となるわけですから、どこのCCRCを選ぶかが重要な問題なのはいうまでもないでしょう。また、各自のライフスタイルや趣味・志向、地域の気候やロケーションといった点も、長く住む上では大切なファクターです。

そこで、CCRCへの移住を考える際に考慮しておくほうがよい基準を挙げてみましょう。

① 比較的温暖な地域であること

年齢を重ねると寒暖の差で体調を崩すことも少なくありません。CCRCが厳しい自然環境の中にあるとは思えませんが、海沿い、山沿い、内陸部といった地形や気候をご自身に合わせて考慮しましょう。

② ご自身の趣味や志向に沿った活動が行われていること

音楽、園芸、美術、芸術、社会奉仕他。そのコミュニティで社会との接点を作る上で、ご自身に無理のないものであることが望ましいです。もちろん、新たな趣味を始めるきっかけとお考えになってもいいでしょう。

③ これまでの社会経験を活かせる場があること

大学をはじめとした教育機関や、農業・漁業といった地域の生産活動、企業のCSRなどと連携したCCRCも少なくありません。ご自身の経験を活かせれば、地域に溶け込みやすく、暮らしに張り合いも生まれます。

④ バリアフリーの設備や移動のためのサービス・手段があること

コミュニティ内に電気で動く歩道、車椅子、シャトルバスなどの公共の交通手段が整備されていることが前提。さらに日常的な行動半径を考えると地形にも起伏が少なく、移動のしやすいことが理想です。

⑤ 何かの折りに、肉親者や縁者・友人がそれほど負担をかけずに訪れられる距離であること

特別な事情がない限り、連絡の取りにくいほど遠く離れた場所を選ばないほうが賢明です。具体的には現在住んでいる場所や実家などから半径100km程度と考えておくのが好ましいでしょう。

これらはあくまでも、CCRCを選ぶ際の目安です。あまりに大きな変化は、肉体的にも精神的にも負担を強いることになりますし、慣れるまでに時間がかかるでしょう。もちろん、すべてをクリアしていなくてはならないわけではありません。この項の冒頭でも触れたように、ライフスタイルや趣味・志向、そして、価値観によっては、いくつかが該当していなくても、有意義で満足のいく毎日が過ごせるでしょう。

また、今後は、さらに地域性や独自色の強いCCRCが登場してくる可能性もあります。2.CCRCのメリット・デメリットで取り上げた、一定期間の「お試し居住」の活用もおすすめ。実際の体験を通じて判断できますし、ご自身がCCRCに求めるものを、それによって気づくことも多いでしょう。

・【第1回】CCRCとは?
・【第2回】CCRCのメリット・デメリット
・【第4回】自治体が進めるCCRC