最低賃金、過去最大24円(3.0%)引上げ、全都道府県で時給700円超に

7月28日に開催された中央最低賃金審議会で、今年度の地域別最低賃金額改定(引上げ)の目安について答申がまとめられました。平成28年度の最低賃金(時給)引上げの目安は、全国平均で前年度比3%増の24円と、過去最大となり、目安通りに実施されれば平均で822円、最低賃金の最も高い東京で932円、最も低い鳥取、高知、宮崎、沖縄で714円となります。この目安をもとに、各都道府県の最低賃金審議会が10月頃までに具体的額を決めることになります。

7月28日に開催された中央最低賃金審議会では、平成28年度における各都道府県の最低賃金(時給)引上げ額の目安について、 Aランク25円、Bランク24円、Cランク22円、Dランク21円 (昨年度はAランク19円、Bランク18円、Cランク16円、Dランク16円)とする答申を出しました。各ランクに入っている都道府県は、以下の通りです。

ランク 都道府県
A 千葉、東京、神奈川、愛知、大阪
B 茨城、栃木、埼玉、富山、長野、静岡、三重、滋賀、京都、兵庫、広島
C 青森、岩手、秋田、山形、福島、鳥取、島根、徳島、愛媛、高知、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄
D 千葉、東京、神奈川、愛知、大阪

この答申は、今年の6月14日に開催された第45回中央最低賃金審議会で、厚生労働大臣から今年度の目安についての諮問を受け、同日に「中央最低賃金審議会目安に関する小委員会」を設置し、4回にわたる審議を重ねて取りまとめた「目安に関する公益委員見解」等を、地方最低賃金審議会に示すものです。

今後は、各地方最低賃金審議会で、この答申を参考にしつつ、地域における賃金実態調査や参考人の意見等も踏まえた調査審議の上、答申を行い、各都道府県労働局長が地域別最低賃金額を決定することとなります。

なお、答申では、政府に対し、「中小企業・小規模事業者の生産性向上等のための支援や、 取引条件の改善等に引き続き取り組む」ことを強く要望しています。政府は、この答申を踏まえ、8月2日に閣議決定された「未来への投資を実現する経済対策」の中で、「今回の答申での目安が、「消費の喚起や生活水準の底上げにつながり、一億総活躍社会の加速化に資することを期待する。」とし、「最低賃金引上げの環境整備として、経営力強化・生産性向上に向けて、中小企業・小規模事業者への支援措置を推進・拡充する。事業主の雇用保険料の時限的な引下げについて、必要な検討を経て、成案を得、 2017(平成 29) 年度から実現する。」との対処方針を公表しました。

政府は、本年6月2日に閣議決定された「ニッポン一億総活躍プラン」で、時給千円に向けて最低賃金を毎年3%ずつ引き上げることをうたいました。今回の決定はこのプランに沿ったものですが、現在のペースでは欧州諸国やオセアニア諸国の最低目安とされる時給1,000円を超えるのは7年後です。最低賃金の引上げは非正規労働者を中心に、近年大きな関心を呼んでおり、時給1,500円の実現を訴える「エキタス」の街頭活動には多くの者が参加しています。最低賃金の引上げが継続するよう、環境整備の着実実施が求められています。