9月の有効求人倍率は1.24倍 ― 23年8ヶ月(平成4年1月)ぶりの高水準、 完全失業率は3.4% ― 前月と同率

厚生労働省では、公共職業安定所(ハローワーク)における求人、求職、就職の状況をとりまとめ、求人倍率などの指標を作成し、一般職業紹介状況として毎月公表しています。
(http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11602000-Shokugyouanteikyoku-Koyouseisakuka/0000092510.pdf)。
総務省では、就業状況、失業者、失業率など把握するため、「労働力調査」を毎月実施・公表しています。(http://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/pdf/201506.pdf)

2つの調査の2015(平成27)年9月分の状況が両省から10月30日に公表されました。有効求人倍率は1.24倍と23年8ヶ月ぶりの高水準で、完全失業率は3.4%と同水準でした。完全失業者数は227万人と、前年同月に比べて6万人減り、64か月連続で減少しました。このように、総じて、雇用情勢は好調な状況を続けています。

仕事を求めている人一人に対し企業から何人の求人があるかを示す、9月の有効求人倍率(季節による変動要因を除いた全国の季節調整値)は前の月より0.01ポイント上昇し1.24倍と、高い水準が続いています。なお、正社員だけでみた正社員有効求人倍率は0.77倍(季節調整値)と1倍をかなり下回っていますが、正社員のデータを取り始めた2004年11月以来、最も高い水準となっています。

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(注) 1.月別の数値は季節調整値である。なお、平成26年12月以前の数値は、平成27年1月分公表時に新季節指数により改訂されている。

2.文中の正社員有効求人倍率は正社員の月間有効求人数からパートタイムを除く常用の
月間有効求職者数で除して算出しているが、パートタイムを除く常用の有効求職者には派遣労働者や契約社員を希望する者も含まれるため、厳密な意味での正社員有効求人倍率より低い値となる。
3.文中の産業分類は、平成25年10月改定の「日本標準産業分類」に基づくもの。

9月の新規求人数(当月に新たに受け付けた求人数、原数値)は前年同月と比較すると0.9%増と伸び率は低下しています。これを産業別にみると、教育・学習支援業(9.8%増)、医療・福祉(4.5 %増)、運輸・郵便業(3.6%増)などで高い伸びとなり、学術研究および専門・技術サービス業(4.0 %減)、建設業及び情報通信業(3.4%減)などは減少となりました(製造業、卸売・小売業はそれぞれ6.3%、6.7%の増を削除)。新規求人数は、内閣府の景気動向指数の先行系列に採用されている唯一の労働統計指標です。

景気に先行して変動する先行系列とされているのは、企業は景気がよくなると感じると求人活動を活発化し、景気の陰りを感じると、新たな求人活動を控えるからです。9月の新規求人の伸びの低下が一時的なことなのか来月以降の動向が注目されます。都道府県別の有効求人倍率(季節調整値)をみると、全国で最高は東京都の1.83倍、最低クラスは鹿児島県の0.86倍、沖縄県の0.88倍、埼玉県(埼玉県は東京への通勤者が多く、求人も東京の企業からのものが多い。)の0.89倍と順番は変わっていますが、常連の県が並んでいます。

全国の完全失業率(季節調整値)も同日総務省統計局から公表されましたが、3.4%と前月と同率でした。完全失業率は、15歳以上の働く意欲のある人(労働力人口)のうち、仕事を探しても仕事に就くことのできない人(完全失業者)の割合です。就業者(働いている者)が6,439万人と前年同月に比べ37万人増加し(10カ月連続の増加)、完全失業者数も227万人と、前年同月に比べて6万人減りました(64か月連続で減少)。なお、製造業就業者数が992万人と3年近くぶりに1000万人を割り、その要因は何なのかについて議論されています(生産拠点の海外移行の進展や省力化投資の拡大等があげられています)。

このように、総じて、雇用情勢は好調な状況を続けていますが、厚生労働省は、「雇用情勢は着実に改善しているが、アメリカの金融政策が正常化に向かう中で、中国をはじめとするアジア新興国などの景気の下振れ、あるいは金融資本市場の変動が長期化した場合の雇用への影響については、引き続き注意が必要。」(10月30日閣議後の塩崎厚生労働大臣記者会見発言)と、先月と同様のコメントをしています。