11月の有効求人倍率は1.25倍に上昇 ― 平成4年1月ぶりの高水準、 完全失業率は3.3%に上昇 ― 前月に比べ0.2ポイントの悪化

厚生労働省では、公共職業安定所(ハローワーク)における求人、求職、就職の状況をとりまとめ、求人倍率などの指標を作成し、一般職業紹介状況として毎月公表しています。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000107475.html

総務省では、就業状況、失業者、失業率など把握するため、「労働力調査」を毎月実施・公表しています。
http://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/index.htm

2つの調査の2015(平成27)年11月分の状況が両省から12月25日に公表されました。有効求人倍率は1.25倍と前月と比べ0.01ポイント上昇し、平成4年1月ぶりの高水準で、完全失業率は3.3%と前月に比べ0.2ポイント悪化しましたが、総じて、雇用情勢は好調な状況を続けています。

仕事を求めている人一人に対し企業から何人の求人があるかを示す、11月の有効求人倍率(季節による変動要因を除いた全国の季節調整値)は前の月と比べ0.01ポイント上昇し、高い水準が続いています。なお、正社員だけでみた正社員有効求人倍率は0.79倍(季節調整値)と1倍をかなり下回っていますが、正社員のデータを取り始めた2004年11月以来、最も高い水準となっています(昨年11月は0.69倍)。

kyujin201511

(注)
1.月別の数値は季節調整値である。なお、平成26年12月以前の数値は、平成27年1月分公表時に新季節指数により改訂されている。
2.文中の正社員有効求人倍率は正社員の月間有効求人数からパートタイムを除く常用の月間有効求職者数で除して算出しているが、パートタイムを除く常用の有効求職者には派遣労働者や契約社員を希望する者も含まれるため、厳密な意味での正社員有効求人倍率より低い値となる。
3.文中の産業分類は、平成25年10月改定の「日本標準産業分類」に基づくもの。
11月の新規求人数(当月に新たに受け付けた求人数、原数値)は前年同月と比較すると9.3%増となりました。これを産業別にみると、宿泊業・飲食サービス業(訪日外国人観光客の増加の影響等で19.6%増)、教育・学習支援業(14.2%増)、卸売・小売業(11.5%増)、医療・福祉業(9.9%増)などで高い伸びとなりました(製造業は9.7%の増)。新規求人数は、内閣府の景気動向指数の先行系列に採用されている唯一の労働統計指標です。景気に先行して変動する先行系列とされているのは、企業は景気がよくなると感じると求人活動を活発化し、景気の陰りを感じると、新たな求人活動を控えるからです。

都道府県別の有効求人倍率(季節調整値)をみると、全国で最高は東京都の1.85倍、最低クラスは鹿児島県の0.90倍、沖縄県の0.91倍、埼玉県(埼玉県は東京への通勤者が多く、求人も東京の企業からのものが多い。)の0.92倍と、常連の県が並んでいます。

全国の完全失業率(季節調整値)も同日総務省統計局から公表されましたが、3.3%と前月に比べ0.2ポイント悪化しました。完全失業率は、15歳以上の働く意欲のある人(労働力人口)のうち、仕事を探しても仕事に就くことのできない人(完全失業者)の割合です。就業者(働いている者)が6,379万人と前年同月に比べ8万人増加し(12カ月連続の増加)、完全失業者数も209万人と、前年同月に比べて10万人減りました(66カ月連続で減少)。完全失業率(季節調整値)が悪化(増加)したのは、前年同月でなく前月と比べ、完全失業者が増加したためですが、その内訳をみると、勤務先や事業の都合による離職が減り、自発的な離職(自己都合)や新規求職が増えています。雇用情勢の改善を受け、よりよい仕事を求めて自己都合で離職する人や新たに職探しをする人が増えたもので、雇用情勢は引続き改善傾向で推移していると総務省統計局は分析しています。

このように、総じて、雇用情勢は好調な状況を続けています。