田舎暮らしの詩 ~長野県伊那市より VOL.5~ 東京のカフェから伊那のカフェへ

味噌・米・醤油に家庭菜園。今でこそのんびり半農半Xを楽しんでいるように見えるわたしですが、これからどう生きていこうかと途方にくれていた時期がありました。
記事トップ画像は、わたしが伊那での暮らしをスタートした、想い出深いログハウスです。

長年勤めた会社を退職しても、価値観が変わらないままでは、また同じような仕事をすることになる気がして、退職後1年間は、退職金と失業保険をつかって興味のあるイベント、ワークショップ、勉強会、さまざまなものに顏を出しました。
フラ(ダンス)、お神楽の舞、染め物や麻ひも績みや味噌づくりなど、今まで触れることのない世界でした。

フラを踊っているところ

会社員時代は、朝7時に電車に乗り、1日中働いて、深夜に帰宅があたりまえの生活。
就職してからずっと、現金と数字に囲まれ、収益拡大のための策を練る日々を過ごしてきました。
退職してはじめて、こんなにもゆっくりした生活があるということに気づき、衝撃を受けました。

「もう、営業も事務もしたくないなぁ」と思い、とりあえず東京にあるオーガニック風カフェで働き始めました。
ところが、新天地で一から勉強しようと張り切って職場へ通い始めたものの、初日からあることが引っかかるのです。

前職の営業企画部で、各支店の運営改善・社員のモチベーション向上施策などを担当していたことがあり、カフェの運営、店長の部下への指導方法が気になってしかたありません。

新人で要領がつかめないわたしを、怒ってしかりつけるばかりの店長に、どうにも我慢ならなかったともいえますが……。

社会経験があるだけに、なんの疑問もなく上長の指示に従うことができず、もっとこうしたらスタッフが育つとか、効率が良くなるとか、お客様が増えるとか、そんなことを考えることが身に付いてしまっているのです。ただ黙って言われたとおりにするのは、どうも居心地が悪いのです。逆に、職場からしてみても、使いづらい存在なのかもしれませんね。

「怒ってばかりいないで、上に立つものは、部下がやる気になるように指導するのが役目なんじゃないですか」

と、つい正直に言ってしまい、なんと3日で解雇されてしまいました。
もう、人に雇われるのはたくさんだな、お互い不幸なだけだと痛感。

そうか!自分でカフェを経営すればいいのか!

草木染めのワークショップや、お神楽のお稽古などで何度も足を運んでいた伊那の集落が思い浮かびました。

伊那でカフェを始めよう!

早速物件を探してみたところ、住居兼店舗として使える素敵なログハウスを、月3万円で借りることができたのです。

知らないからこそやろうと思えた、無謀なわたしでした。

大山千佳

大自然のふところ、伊那谷からお届けしています。
伊那谷

職業

移住前 信託銀行 勤務
移住後 あがっとソロバン&学習塾 主宰

氏名

大山千佳(おおやまちか)

年齢

51歳

略歴

東京都出身。都立日比谷高校、青山学院女子短期大学卒。
信託銀行に26年間勤務し、事務・営業・本部企画に従事。
現在は、中央アルプスと南アルプスに囲まれた伊那谷の大自然の中、
小学生にソロバン、中学生に数学・英語を教える学習塾を主宰。

ターン状況

出身〜38歳 東京都品川区
38歳~47歳 東京都大田区
47歳〜 長野県伊那市

開業資金

1万円(教科書代)

ターンの理由

東京に住み、毎日朝から夜遅くまで仕事しながら、自分の本当の幸せは何か模索していました。
伊那で開催する染め物や味噌づくりのワークショップに通うようになり、風土・季節にそった生き方をしている移住者たちと知り合い、1年かけて移住を決意しました。

今の暮らしで気に入っていること

朝、鳥の鳴き声で目覚めること。
採れたての美味しい野菜を食べられること。