田舎暮らしの詩 ~長野県伊那市より VOL.8~ 夏期講習

大山千佳

大自然のふところ、伊那谷からお届けしています。
伊那谷

職業

移住前 信託銀行 勤務
移住後 あがっとソロバン&学習塾 主宰

氏名

大山千佳(おおやまちか)

年齢

51歳

略歴

東京都出身。都立日比谷高校、青山学院女子短期大学卒。
信託銀行に26年間勤務し、事務・営業・本部企画に従事。
現在は、中央アルプスと南アルプスに囲まれた伊那谷の大自然の中、
小学生にソロバン、中学生に数学・英語を教える学習塾を主宰。

ターン状況

出身〜38歳 東京都品川区
38歳~47歳 東京都大田区
47歳〜 長野県伊那市

開業資金

1万円(教科書代)

ターンの理由

東京に住み、毎日朝から夜遅くまで仕事しながら、自分の本当の幸せは何か模索していました。
伊那で開催する染め物や味噌づくりのワークショップに通うようになり、風土・季節にそった生き方をしている移住者たちと知り合い、1年かけて移住を決意しました。

今の暮らしで気に入っていること

朝、鳥の鳴き声で目覚めること。
採れたての美味しい野菜を食べられること。


旧盆が過ぎると、伊那は秋の気配。
長野県の小・中学校では、8月22日から新学期がもう始まっています。

夏休みが始まる直前、「先生、夏期講習ってやらないんですか?」と生徒から尋ねられました。
昨年は、「夏休みまで勉強するの嫌だ!」と言っていた生徒たちですが、中学1年生で通いはじめてくれた子は、早いものでもう3年生。
受験勉強する気満々のようです。

生徒たちのやる気を応援しよう!と夏期講習を開催することにしました。
「朝9時半から16時まで、3週間、お弁当持参で勉強しよう!」

今年の夏は伊那も猛暑です。
暑い中、自転車やバス、親御さんの送迎で生徒が集まってきます。
各々が問題集を解き、わからないところをわたしが説明して、あっという間にお昼になりました。

「あれっ、お弁当持ってこなかったの?」
みんながお弁当を広げる中、一人だけ準備をしない生徒に声をかけると、
「食べない。いらない。」
と、少し怒ったような返事。

どうやらお弁当忘れちゃったようなので、わたしの畑で採れた野菜でパスタを作って一緒に食べることにしました。
生徒一人だけわたしと同じパスタを食べるのも、不公平かなと思い、みんなのお弁当をつつきあいながら、パスタも分け合って食べました。

お弁当を持って来た子たちの親御さんも忙しいから、お弁当を作るのは負担になるなぁと気づき、翌日からは、わたしが昼食の用意することにしました。
カレーだったり、チャーハンだったり、ときには、お弁当やさんに注文したり。
親御さんたちから、いろいろ差し入れもいただきました。

こちらは、丸ごと桃を使った美味しいケーキ。

問題を解いて、ご飯を食べて、問題を解いて、おやつを食べて。
みんなで社会や理科の教科書の読み合わせもしました。
最近の学校は、IT化が進み、音声が教科書を読み上げるので、自分でちゃんと教科書を読むことがないようです。
分からない漢字が続出です。
「豊富→とよとみ」「湖→いけ」「原野→はらの」「治水→ちみず」……。
普段は、数学と英語を教えているのですが、国語、社会や理科の音読の重要性を感じました。

分からない漢字を教え合ったり、単元のポイントを発表しあったりして、ほのぼの楽しく、しかもしっかり勉強できた3週間でした。
そうそう、一つとてもうれしいことがありました。
この夏期講習から遠方の中学1年生が通いはじめ、親御さんが車に自転車を積んで送ってきて、帰りは自分で自転車をこいで帰るということでしたが、
道が不慣れな生徒が、ちゃんと帰れるか心配でした。
講習の後はソロバンの生徒が来るので、わたしは送っていけないし……。
困っていると、自転車で来ていた中学3年生の生徒が、1年生に安全な道を教えながら一緒に帰ってくれたのです。

楽しく学んで成績アップ。
同学年の横のつながりも、年齢を超えた縦のつながりも大事にする寺子屋のような学習塾をつくりたい。
そんな夢が少しずつ実現しています。

そして実りの秋。
庭のへちまがたわわに実っています。

☞ 田舎暮らしの詩~長野県伊那市よりVOL.1~から読む