日常に潜む情報通信技術の罠-違っているけど似ている SMSとSNSの巻-

台風が来ても猛暑は治まる気配がありませんが、今月は微妙に違うけれど似ている(異音類義語)として「SNS」と「SMS」を取り上げます。
家族や知人などに「SNSやSMSをやってますか?」と聞いても、「やってません」という返事が返ってくることが多いと思います。しかし「LINEやってますか?」「Instagramやってますか?」「Twitterやってますか?」「Facebookやってますか?」「ショートメッセージやってますか?」などと問えば、たいてい、どれかは「やってます」と答えがあると思います。

図1:いらすとやのメッセージアプリの画面例はLINEとSMSで共通です

図1にあるように、スマートホンで画面だけ見ていると、SMSとLINEでは見た目に大きな差異はなく、一般的なイラスト素材検索で「メッセージアプリ」「LINE」とそれぞれ検索しても結果はだいたい同じイラストが出てきます。(「かわいいフリー素材集のいらすとや*1」でも、同じイラストになっています。)
違っているけれど似ているのがSMSとSNSなのです。

SMS

SMSはショートメッセージサービス(Short Message Service)です。(決してサドマゾ(SadoMasochism)Serviceではありません。)
一般に「メール」と言われるメールサービスは、xxx@yyy.co.jpやxxx@yyy.comなどのように「@」の前の個人を表わすxxxとメールアドレスを管理する機関を表わすyyy.co.jpやyyy.comから構成されたアドレス同士でやり取りするものです。
相手のメールアドレスに送るメールサービスに対して、SMSは携帯電話番号宛にメッセージを送るサービスです。相手のメールアドレスが不明な時でも、メッセージを送ることができます。当初は文字のみしかやり取りできなかったのですが、いまでは絵文字や写真なども添付できるようになりました。

図2 二段階認証を使う人

近年ではセキュリティ強化のために、アプリなどのアカウントやPCやスマートホンなどでのログインに二段階認証が多く導入されています。その確認メッセージの宛先を携帯電話に指定すると、認証確認の数字やURLなどのメッセージがSMSで送られてくるので、使用頻度が増えている方も多いのではないでしょうか?(図2)

セキュリティ以外でもSMSは身近なシーンで多く利用されています
例えば宅配便の問い合わせ電話をすると、応答システムが「チャットご希望の方は1を、、」というので、そのようにすると、スマートホンのSMSにチャットのURLが入ったメッセージが送られてきたりします。先週は筆者あてに国税庁の名を騙った督促のSMSが送られてきてたまげました。メールと同様にいろいろなフィッシングメッセージがSMSでも送られてくるので、安易にURLのリンク先に飛ばないように、留意が必要ですね。

SNS

SMSの真ん中のMをNに替えるとSNS(Social Networking Service)です。SNSは登録した利用者同士が交流するWebサイトです(図3)。

図3 SNSの画面のイメージ

SNSはネット上に公開したアカウントでテキストなどを投稿するサービスで、個人のホームページで情報を公開し、フォローや「いいね」でつながっています。Twitter、Facebook、InstagramなどSNSには多くのサービスがあり、個人だけではなく、企業や大学、省庁などもSNSで情報発信をしています。
冒頭にあげたLINEは携帯電話番号と紐づいているので、SMSではないかといわれる方もおられるでしょう。しかし、ホームやタイムライン、チャット、ミーティングの機能があるので、SNSの一つと考えたほうがよいと思います。

筆者はほとんど発信せず、閲覧も週1程度という低活動なので、SNSで使われる単語などなかなかフォローできないのですが、企業としては、投稿によるユーザからの共感や信頼を数値化したエンゲージメント数は、気になります。エンゲージメント数*2もSNS毎に依存していて、単純に「いいね」だけでなく、シェアやリツイート、フォロー、クリックなどを合わせて使っているようです。

 SNSは広告媒体の一つして使われるだけでなく、そのデータはビッグデータとしてAIによる解析も行われています。その例の一つが、東日本大震災を契機として開発された耐災害SNS情報分析システム*3です。実際に、熊本地震の時などに、救援物資や必要な支援などに使われています。

 SMSとSNS、色色ありますが、セキュリティに留意しつつ、上手に使い分けていくことが大事ですね。

*1:無料で使えるイラスト素材がたくさん掲載されているサイトです。プレゼンテーション資料作成などで重宝します。https://www.irasutoya.com/
*2:ある投稿に対してどれくらいのエンゲージ(反応:いいね、リック、シェアなど)があったか」を計る指標。
*3:https://www.nict.go.jp/resil/realime_social_wisdom_analysis/disaana.html


筆者紹介
土井 美和子氏

国立研究開発法人情報通信研究機構 監事(非常勤)
東北大学 理事(非常勤)
奈良先端科学技術大学院大学 理事(非常勤)
株式会社三越伊勢丹ホールディングス 取締役(社外)
株式会社SUBARU 取締役(社外)
日本特殊陶業株式会社 取締役(社外)

1979年東京大学工学系修士修了。博士(学術)。同年東京芝浦電気株式会社(現㈱東芝)総合研究所(現研究開発センター)入社。博士(工学)(東京大学)。以来、東芝にて35年以上にわたり、「ヒューマンインタフェース」を専門分野とし、日本語ワープロ、機械翻訳、電子出版、CG、VR、ジェスチャインタフェース、道案内サービス、ウェアラブルコンピュータ、ネットワークロボットの研究開発に従事。