来年度(2016年度)の年金額据え置き 〜給付抑制は実施せず〜

厚生労働省は1月29日、2016年度に支給する公的年金額を現在の水準で据え置くと発表しました。同日に公表された「2015年平均の全国消費者物価指数」(生鮮食品を含む総合指標)を踏まえたものです。

公的年金額の改定ルールは、年金関連法で規定されており、年金を始める時点の年金額(新規裁定年金)は名目手取り賃金変動率によって改定し、受給中の年金額(既裁定年金)は購買力に着目して物価変動率によって改定することになっています。但し、給付と負担の長期的な均衡を保つ観点から、「名目手取り賃金変動率」(前年の物価変動率に2年度前から4年度前までの3年度平均の実質賃金変動率と可処分所得割合変化率を乗じたもの)がマイナスで物価水準の変動がプラスとなる場合は、現役世代の保険料負担能力が低くなっているので、新規裁定年金も既裁定年金も、ともにスライドなしとすることが規定されています。

2016年度の年金額は、「名目手取り賃金変動率」がマイナス(▲0.2%)で、物価上昇率がプラス(0.8%)になったため、新規裁定年金も既裁定年金も、ともにスライドなしとされました。

なお、2004年の年金制度改正によって導入された、賃金や物価の改定率を調整してゆるやかに年金の給付水準を引き下げる「マクロ経済スライド」は、2015年度に初めて実施されましたが、新規裁定年金、既裁定年金ともにスライドなしとなったことから、2016年度は適用されません。