田舎暮らしの詩 ~長野県伊那市より VOL.15~ 月の明るさ、太陽の暖かさ

大山千佳

大自然のふところ、伊那谷からお届けしています。

伊那谷

職業

移住前 信託銀行 勤務
移住後 あがっとソロバン&学習塾 主宰

氏名

大山千佳(おおやまちか)

年齢

51歳

略歴

東京都出身。都立日比谷高校、青山学院女子短期大学卒。
信託銀行に26年間勤務し、事務・営業・本部企画に従事。
現在は、中央アルプスと南アルプスに囲まれた伊那谷の大自然の中、
小学生にソロバン、中学生に数学・英語を教える学習塾を主宰。

ターン状況

出身〜38歳 東京都品川区
38歳~47歳 東京都大田区
47歳〜 長野県伊那市

開業資金

1万円(教科書代)

ターンの理由

東京に住み、毎日朝から夜遅くまで仕事しながら、自分の本当の幸せは何か模索していました。
伊那で開催する染め物や味噌づくりのワークショップに通うようになり、風土・季節にそった生き方をしている移住者たちと知り合い、1年かけて移住を決意しました。

今の暮らしで気に入っていること

朝、鳥の鳴き声で目覚めること。
採れたての美味しい野菜を食べられること。


みなさん、月が明るいということを意識したことはありますか?
わたしは、伊那に移住するまで、真夜中でも街灯が煌々と道を照らす住宅地や商店街に住んでいたので、月の明るさを知りませんでした。

今住んでいる場所は、畑の真ん中はもちろん、集落にも街灯が少ないので、月のない夜は真っ暗です。
暗闇が当たり前だから、月の明るさが実感できるのです。
満月の光だけで夜道を歩けるなんて、想像もしていなかった世界です。

そして、太陽がとても暖かいということも、冬寒い場所だから、一層感じられるのかもしれません。
夜の間に凍った窓も、太陽が出て2時間もすると溶け始めるのですから。
先日も目覚めて、今日は暖かいなあ、と思ったら太陽の熱で、夜に積もった雪がもう溶け始めていました。

太陽といえば、1月6日は、部分日食がありました。
国内ではおよそ3年ぶりと話題になっていたので、観察された方もいらっしゃるかと思います。


その日、わたしは、伊那のバスターミナルにいました。
ここは、新宿・名古屋への高速バスや、伊那市内バスの発着点になっています。
わたしがよく利用する新宿バスタへの便は一日16便、所要時間3時間25分で、3,500円。
電車よりも早くて安いから、最近はバスばかり使っています。

伊那バスターミナルは、昨年改装してきれいになりました。
カフェも併設されていて、旅行客はもちろん地元の方々の憩いの場となっています。
ここでお茶をしていると、「太陽が」「太陽が」と周りの人たちが騒ぎはじめました。
あ、今日は日食だったなと気づき、外に出て見ました。

すると、地元のみなさんが「バケツがいい」「黒いビニールがいい」と口々に話しています。

「なんでバケツ?」


近寄ってみると、みなさん、バケツの底やビニール袋で太陽を見ているのです。
特に観測用の器具を用意していないのに、身の回りにあるものを使って盛り上がっています。
いやはやみなさんたくましい。
バケツやビニールでは、赤外線や紫外線は入ってきてしまうので注意が必要ですが、私も便乗させていただきました。

部分日食

左上が少し欠けているのがわかり、感激!

技術や情報で満たされた今の時代でも、伊那に暮らす方々は、自然と向き合いながら創意工夫することに慣れていることを実感しました。

自然に合わせて生きているから、心地よい時間が流れているのでしょうね。

※バケツやビニールで太陽を見るのは危険なので、絶対に真似をしないでください。(EARC)

☞ 田舎暮らしの詩~長野県伊那市よりVOL.1~から読む