田舎暮らしの詩 ~長野県伊那市より VOL.2~ 見守り合う温かさ

わたしの両親は、東京に住んでいます。
東京と伊那では、物価も気候も違うので、なにかと心配になることが多いようです。
いくつになっても親にとって子どもは子ども。ありがたい話ですが……。

記事タイトル写真は、我が家近くの森の入り口から見渡した伊那谷の景色です。
この伊那谷中に、もう少しでサイレンと緊急放送が鳴り響くところでした。
「こちら広報かみいな。身長163㎝、ショートヘアー、大山千佳さんが、行方不明です。見かけた方は、警察にご連絡ください。」

先日、木曽で田植えを終えて、夜自宅に戻ってパソコンを開くと、友人からのメッセージが飛び込んできました。
「至急お父さまに連絡すべし。明日までに連絡がない場合は、警察に連絡するそうです。」
「えっ? どうなっているの?」
木曽に行ったのが金曜日の夜。
金・土・日と、わたしに電話しても繋がらなかったため、「倒れたか行方不明になったのかもしれない!」と、心配した両親が友人やご近所さんに問い合わせをしたようです。
「自宅に戻った時に向かいのおばあちゃんが外に出てきていたのは、わたしの帰宅を確かめるためだったのか。」と、だんだん状況がつかめてきました。

お互い都内に住んでいれば、離れていても、それほど心配しないと思うのですが、田舎での暮らしは想像できないことが多いらしく、寒さで凍えていないだろうか、熊に襲われていないだろうかとか、いつも心配しているようです。
実際、冬は氷点下10度になる日もあり、水道が凍結することもありますし、近隣で熊の出没情報が出ることもあるのですが、基本的に伊那では平和に暮らしています。

伊那谷の雪景色

伊那谷の冬は氷点下10度になることも!

わたしが、採れたての山菜や鹿肉料理を堪能していたときも、源泉かけ流しの温泉に入って極楽気分を味わっていたときも、両親がわたしを探していたのかと思うと、ありがたいやら申し訳ないやら。両親が連絡したみなさんにも、急いでわたしの無事を伝えました。

日本には、まだ携帯電話の電波がとどかない秘境が残されているのですね。友人のお宅に電波が入らないとは思ってもみませんでした。
これから家を空けてどこかへ出かける際には、少なくとも両親にだけは行き先を伝えておくようにしようと思います。

心配してくれるのは、両親だけではありません。昨年、夏に2泊家を空けたときは、帰宅するなり、向かいのおばあちゃんから電話がかかってきました。
「あぁ、よかった。連絡とれて。トウモロコシをあげようと思ってお宅に行ったのに留守だから心配になってね。」
普段は、程よい距離感で暮らしていても、無事を見守りあう温かさ。
古くから人が住み関わりあって暮らす集落には、こういった安心感があると思います。

大山千佳

大自然のふところ、伊那谷からお届けしています。
伊那谷

職業

移住前 信託銀行 勤務
移住後 あがっとソロバン&学習塾 主宰

氏名

大山千佳(おおやまちか)

年齢

50歳

略歴

東京都出身。都立日比谷高校、青山学院女子短期大学卒。
信託銀行に26年間勤務し、事務・営業・本部企画に従事。
現在は、中央アルプスと南アルプスに囲まれた伊那谷の大自然の中、
小学生にソロバン、中学生に数学・英語を教える学習塾を主宰。

ターン状況

出身〜38歳 東京都品川区
38歳~47歳 東京都大田区
47歳〜 長野県伊那市

開業資金

1万円(教科書代)

ターンの理由

東京に住み、毎日朝から夜遅くまで仕事しながら、自分の本当の幸せは何か模索していました。
伊那で開催する染め物や味噌づくりのワークショップに通うようになり、風土・季節にそった生き方をしている移住者たちと知り合い、1年かけて移住を決意しました。

今の暮らしで気に入っていること

朝、鳥の鳴き声で目覚めること。
採れたての美味しい野菜を食べられること。

☞ 田舎暮らしの詩~長野県伊那市よりVOL.1~から読む