田舎暮らしの詩 ~長野県伊那市より VOL.3~ 夏至の菜園

夏至の早朝

夏至の朝。
4時半に目覚めて窓を開けると、すでに東の空が白みはじめていました。最高気温になるには、まだ1カ月ほどかかりますが、夏至を境に北半球と太陽の関係は冬の準備を始めることになります。
伊那に住みはじめてから、「あぁ、どんどん夜が長くなって冬がやってくるなぁ」と、もの寂しく感じるようになりました。夜も明るい都会とは違って、わたしの住む集落では、月明かりのない夜は本当に暗くて寂しくなります。
もっとも、冬には農繁期を終えた人たちの集まりが増え、楽しみもたくさんありますが……。

さて、これから盛夏。移住生活3年、半農生活2年目のわたしの畑でも、野菜たちが勢いよく成長しています。

花豆の花
花豆が綺麗な赤い花をつけました。

ここは、標高900メートル。高地で育つ花豆には、十分な標高です。
近所のお百姓さんにも「この花豆は、ものになるな」と褒められました。
畑での失敗は数知れず、友人の畑を手伝っていて、今植えたトマトの苗を雑草と間違って抜いてしまったこともあるくらい野菜について何も知りませんでした。
つい先日も自分で植えたメロンの苗を雑草と間違って刈ってしまったり(汗)。

わたしの畑の野菜たち。
花豆、パクチー、かぼちゃ、オクラ、モロヘイヤは、3月に開催した種苗交換会でいただいたものです。種を蒔いてみたものの、発芽した葉が野菜なのか、雑草なのか、わたしにはまったく区別がつかず、近所のお百姓さんに都度教えていただいています。

ラズベリー、ブラックベリーは、友人から苗をもらいました。
剪定した枝を土に挿しておけば、根づく生命力旺盛な植物です。

昨年植えたブラックベリー。
かわいい花が咲きました。

ブラックベリーの花

ニラ、三つ葉、シソは、ご近所さんから根ごといただいて、どんどん増えています。
トマト、ピーマン、ししとう、メロン、えごまは、ホームセンターで苗を買ってきました。

野菜の育ち具合を話題に、近所さんとコミュニケーションがとれるのがうれしいです。
トマトや花豆用の棚は、お百姓さんが、自分の竹林の竹で作ってくれたものです。
地元のみなさんに助けていただきながら楽しく野菜を作っています。

素麺を食べるときに庭から薬味を採ってきたり、朝のフルーツは庭の苺にしたり、使うお味噌やお醤油は手造りしたり、子どもの頃からずっと憧れていた暮らしを実現中です。

花豆の棚

大山千佳

大自然のふところ、伊那谷からお届けしています。
伊那谷

職業

移住前 信託銀行 勤務
移住後 あがっとソロバン&学習塾 主宰

氏名

大山千佳(おおやまちか)

年齢

50歳

略歴

東京都出身。都立日比谷高校、青山学院女子短期大学卒。
信託銀行に26年間勤務し、事務・営業・本部企画に従事。
現在は、中央アルプスと南アルプスに囲まれた伊那谷の大自然の中、
小学生にソロバン、中学生に数学・英語を教える学習塾を主宰。

ターン状況

出身〜38歳 東京都品川区
38歳~47歳 東京都大田区
47歳〜 長野県伊那市

開業資金

1万円(教科書代)

ターンの理由

東京に住み、毎日朝から夜遅くまで仕事しながら、自分の本当の幸せは何か模索していました。
伊那で開催する染め物や味噌づくりのワークショップに通うようになり、風土・季節にそった生き方をしている移住者たちと知り合い、1年かけて移住を決意しました。

今の暮らしで気に入っていること

朝、鳥の鳴き声で目覚めること。
採れたての美味しい野菜を食べられること。


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